No.87 平成18年3月1日号 火打石―ひうちいし―

更新日:2022年09月29日

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新ならしの散策 No.87

火打石—ひうちいし—

 火は時に甚大な災害を引き起こしますが、一方で私たちの暮らしには欠かせないものです。調理のための火、明かりのための火、暖をとるための火、やきものや鍛治のための火、ものを焼却するための火。電気の普及によって炎そのものを身の回りで見る機会は次第に減っているとはいえ、火なしに私たちの生活が成り立たないことは昔も今も変わりません。

 今、私たちはマッチやライターで簡単に火をおこすことができます。マッチもライターも日本では近代(明治時代以降)になってから普及した発火具です。ではそれより昔、人々はどのように火をおこしていたのでしょうか。

 市内の空き地や畑で、白っぽくて半透明で角ばった石英質の石を見かけることがあります。実はこれは火打石です。昔の火おこしの道具です。時代劇の中で、門口で清めの切り火をしている光景を見たことがある人もいるでしょう。硬質の石を火打金という鉄片と叩き合わせることで、削られた鉄の細かい破片が燃焼し火花になります。この火花を火口(もぐさや蒲の消し炭など)に落とし、これを火種にして慎重に息を吹きかけながら付け木などに着火させていくのですが、炎にするまでには経験とコツが必要です。

 市内の畑などで見られる火打石は、ほとんどが江戸時代から明治時代初期くらいのものと思われます。この付近の人が使ったものか、または江戸から畑の肥料として持ち込まれたごみの中にまじっていたものなのでしょう。今のところ日本列島では、火打石と火打金による火おこしは古墳時代後期にはじまったと考えられています。残念ながら市内では古い時代のものは発見されていませんが、お隣の八千代市や千葉市では奈良時代・平安時代の火打石・火打金が出土しています。習志野市でも将来発見されるかもしれません。

3個の大きさの異なる火打石の写真

火打石

手に火打石と火打金を持っている写真

火打石と火打金

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