No.79 平成17年6月1日号 千葉県指定文化財 旧鴇田家住宅と鴇田家文書

更新日:2022年09月29日

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新ならしの散策 No.79

千葉県指定文化財 旧鴇田家住宅と鴇田家文書

 今年の3月29日、実籾本郷公園内にある旧鴇田家住宅が千葉県の有形文化財に指定されました。大型の茅葺き(かやぶき)の民家で、県内でも珍しい曲屋(まがりや)形式であることが評価された結果ですが、資料によって建てられた年代やその経過が分かることも、歴史的に価値があると判断されました。

「大工手間日記」と表紙に書かれている文化財に指定された史料の白黒写真

「大工手間日記」

 今回住宅と共に文化財に指定された「大工手間(てま)日記」を含む「鴇田家文書」は、実籾村で代々名主(なぬし)を勤める鴇田重右衛門(ときたじゅうえもん)家に伝わった史料群で、現在は教育委員会の市史編さん室に収蔵されています。鴇田家文書で注目されるのは、実籾村が江戸時代に幕府の馬牧(ままき)であった小金下野(しもの)牧に隣あっていたため、小金牧に関する史料が残っていることです。鴇田家文書によって、当時の実籾村が負わされていた、野馬除け(のまよけ)の土手や馬の水飲み場の修復、牧や鷹場の役人の宿泊や接待などの負担を知ることができます。また、実籾村は、東金御成(おなり)街道沿いにあったことから、江戸と九十九里浜を行き来する荷物の運搬もさかんだったようで、犢橋(こてはし)村(現千葉市)との間の馬継ぎ(うまつぎ)をめぐる争いに関する史料も見つかっています。この他、江戸時代初めのころの村政に関する史料などもあり、総点数約6,500点におよぶ鴇田家文書は、千葉県北西部の近世史料としては量・質とも一級の史料群です。

 今回「大工出面書留(でづらかきとめ)板」と「襖引手(ふすまひきて)裏板」もあわせて指定されましたが、2つとも旧鴇田家住宅の建築にかかわる資料です。出面の板は大工の出勤を記録した縦2メートルほどの長板で、床の間の下から出てきたものです。ここに記された大工の出勤状況は、先ほどの「大工手間日記」の記録とも一致しています。一方、襖の引手の裏には享保15年(1730年)6月の「大工 平八郎 生国(しょうごく)上州(ママ)(現群馬県)熊谷領 居住大和田村居」という墨書があり、建具を入れた時の記録が残されています。大工手間日記にも「舟橋大工」「上総(かずさ)大工」という名前が見え、実籾周辺の大工が建築にあたったとともに、当時の大工が修行のためか各地を渡り歩いていた実態を知ることができます。

 建築された年代が判明し、多くの史料が残されている、旧鴇田家住宅ほどの規模の古民家は全国でも少なく、教育委員会でも今回の千葉県の文化財指定を受け、鴇田文書とともに旧鴇田家住宅の保存と活用に力を入れていきたいと考えています。

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