No.41 平成12年2月1日号 都心近くの風光明媚なオアシス ~谷津遊園~
都心近くの風光明媚なオアシス −谷津遊園−
谷津干潟に面し、静かな住宅地が広がっている谷津2丁目周辺。このあたりには、昭和57年(1982年)の閉園の日を迎えるまで、大きな遊園地が広がっていました。この谷津遊園は、東京から近距離という立地条件、目の前の海での海水浴や潮干狩り、また東洋一といわれた大観覧車や、当時は大変に珍しい海上ジェットコースターなどの名物により、東京周辺のみならず、関東一円から行楽客を集めていました。
暴風雨によって、破壊された元塩田を京成電鉄が買い取り、遊園地を整備したのは大正14年(1925年)のことでした。当初は池、庭園、料理屋やお茶屋などがあるだけの質素なもので、従業員も5名だけだったようです。このような谷津遊園も、京成電車の電化や周辺の整備に伴い、次第に拡充されてきました。とくに谷津遊園を有名にしたものに、花の栽培があります。開園当初から整備されてきた花壇は、アメリカをはじめとして外国から種子を直接購入し、珍しい花々で飾られ、訪れる人の目を楽しませました。戦後の昭和20年代後半には菊人形展が盛大に行われていました。30年代に入ると、バラ園の整備が始まり、5月の開花最盛期には何万人もの人々が訪れました。このバラ園は、谷津遊園の閉鎖後も習志野市の管理のもと谷津バラ園として残され、多くの人々に愛されています。
この谷津遊園57年の歴史には、ほかにも様々なエピソードが伝わっています。有名なところでは、プロ野球の巨人軍の発祥、ベーブルースの来訪、阪東妻三郎の映画作りなどがあげられます。また昭和14年(1939年)には、国産飛行機による世界一周飛行を成功させた「ニッポン号」の壮行会が開かれ、1000人以上の人々が、飛行に旅立つ飛行士の激励に殺到し、盛大な式典が開催されたようでした。
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更新日:2022年09月29日