No.30 平成10年9月15日号 ふたつの「谷津」駅
ふたつの「谷津」駅
近年、自動車台数の急激な伸びや道路網の整備が進められていますが、鉄道は大量輸送が可能な公共輸送機関として、人々の生活に欠かせないものとなっています。習志野市内にも、直接都心に直結する総武線、京成線や京葉線、また北部の住宅地を結ぶ新京成線などの鉄道が、日々の通勤通学の貴重な足となっています。これらの鉄道の駅を中心にまちの発展が進むのは、昔も今も変わることはないでしょう。
さて、市内の駅の中でもっとも西に位置するのは谷津駅です。ここは閑静な住宅地を控え、通勤通学の人々で朝夕に賑わいをみせています。しかし、今をさかのぼること71年前の昭和2年(1927年)には、この近辺には、二つの「谷津」駅がありました。
大正14年(1925年)、京成電鉄の手により、谷津遊園が開園しました。それ以来、東京に近い行楽地として、多くの人々が訪れる名所となりました。これらの行楽客のために京成電鉄は昭和2年、花輪駅(現在の船橋競馬場駅)から、谷津遊園正門前まで1.2キロメートルの支線を延ばし、谷津遊園地駅をつくりました。写真(上)は昭和9年頃の谷津遊園を写したものですが、左上の船橋方面から蛇行してきているのが谷津支線で、谷津遊園の楽天府(写真中央の和洋折衷の建物。現在稲毛にある千葉トヨペットが社屋として利用)の前に谷津遊園地駅のホームが見えます。そして写真の中段右に写っているのが谷津海岸駅(今の谷津駅)です。この谷津支線は、昭和9年まで使われましたが、本線の谷津海岸駅から谷津遊園までの道路が整備されたため、支線存続の必要がなくなり、昭和9年6月22日に廃止となりました。その後は谷津海岸駅が行楽客の輸送を一手に引き受け、昭和23年に谷津遊園駅と名称も変わりました。
ホームから行楽客があふれんばかりの賑わいを見せた谷津遊園駅も、谷津遊園の閉園に伴い、昭和59年に谷津駅と名称を変え、住宅地の駅として重要な役目を担っています。
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更新日:2022年09月29日