乳児(1歳未満)

更新日:2022年09月29日

新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた心肺蘇生

 新型コロナウイルス感染症が流行している現在は、すべての傷病者に感染の疑いがあるものとして対応し、子どもの心停止に対しては、講習を受けて人工呼吸の技術を身につけていて、人工呼吸を行う意思がある場合には、人工呼吸も実施する、となっています。

 これは、一般財団法人日本救急医療財団心肺蘇生法委員会「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた市民による救急蘇生法について(指針)」に基本的な考え方として示されており、この考え方を参考とした手技をこのページで紹介いたします。

 状況によって手技は変わる可能性がありますのでご了承ください。

1 反応の確認

 自分に近い方の傷病者の片膝を持ち、足底部を叩いて刺激を与えて呼びかけ、反応があるかないか確認します。

 呼びかける度に必ず傷病者の全身を見て、表情の変化や手足の動きがないか確認します。

 このとき感染対策のため、自分の顔を傷病者に近づけすぎないようにします。

 これを3回行います。

救急隊員の男性が乳児のマネキンの足底部を叩いて刺激を与えている写真
救急隊員の男性が、乳児のマネキンの片膝を持ち、足底部に指を添えている様子をアップで撮影した写真

2 反応がなかったら

 周囲に助けを求め、119番通報とAEDを持ってきてもらうように依頼します。

 一人ずつ指名して、わかりやすく内容を伝えます。

 「そこのあなた、119番通報をお願いします。反応がないことも伝えてください。」

 「そこのあなた、AEDを持ってきてください。」

救急隊員が左手を真っすぐ伸ばして周囲に助けを求めている写真

3 呼吸の確認

 普段どおりの呼吸をしているか、傷病者の口元の動き、胸からお腹にかけての上がり下がりを見て呼吸があるかどうか、または死戦期呼吸ではないかを10秒以内で確認します。

 このときも感染対策のため、自分の顔を近づけすぎないように注意します。

 死戦期呼吸とは、心停止直後に見られ、口をパクパクし、あごをしゃくりあげるような途切れ途切れに起こる呼吸です。

 死戦期呼吸が見られた場合や呼吸をしていない場合、又は呼吸をしているか判断に迷ってしまった場合は「呼吸なし」と判断します。

救急隊員が乳児のマネキンの口元や胸からお腹にかけての動きを見ている写真

4 感染対策

 傷病者がマスクをしていなかった場合、胸骨圧迫を開始する前に感染対策を実施します。

 自分のハンカチなど、傷病者の鼻と口を覆えるものをマスク代わりに顔にあてます。

マスクをしていない乳児のマネキンの口元にマスクの代用でハンカチをあてている救急隊員の写真

5 胸骨圧迫

 左右の乳頭を結ぶ線の中心の少し下(指1本分)に指先2本をあてます。

 あてた指をまっすぐ立てて真上から強く(胸の厚みの約3分の1沈むほど)、速く(1分間に100〜120回のテンポで)、絶え間なく(30回連続で)圧迫します。

 胸を圧迫したら胸を元の厚さまで戻す、解除を忘れないように注意します。

救急隊員が乳児のマネキンの胸骨付近に指先2本をあて胸骨圧迫を行っている様子の写真
乳児に胸骨圧迫を行う位置を示したイラスト
乳児のマネキンの胸骨あたりに真ん中と薬指をあてている様子の写真
乳児のマネキンの胸骨あたりに人差し指と真ん中の指をあてている様子の写真

 人工呼吸を行わない場合、胸骨圧迫のみを継続し、傷病者の意識が回復するか、又は救急隊が到着するまで続けてください。

6 人工呼吸

気道確保

 片方の手は熱を測るように額に当て、もう一方の手は人差し指であご先の骨の部分を支え、この状態で頭を後ろにのけ反らせます。

 これで気道が確保された状態になるので、この姿勢を保持したまま人工呼吸を行います。

 ただし乳児は反らしすぎにより、逆に気道を塞いでしまう可能性があるので、過後屈に注意します。

左手をマネキンの額に当て、右手の指であご先の骨の部分を支えている正しい気道確保の様子の写真
左手をマネキンの額に当て、右手の指であご先の骨の部分を支えて頭を後ろに反らし過ぎている間違った気道確保の様子の写真

人工呼吸

 気道を確保した状態のまま、傷病者の鼻と口を自分の口で覆い、1秒かけて胸が軽く上がる程度息を吹き込みます。

 吹き込みが終わったら口を離し、息が抜けるようにします。

 これを2回行います。

 2回の吹き込みが終わったら直ちに胸骨圧迫に戻りますが、胸骨圧迫の中断時間は10秒以内なので、素早く確実に行います。

 特に乳児は窒息が原因で心停止に陥ることが多いので、確実に行います。

左手をマネキンの額に当て、右手の指であご先の骨の部分を支え気道確保をした状態の写真
マネキンに気道確保をした状態で人工呼吸を行っている様子の写真

胸骨圧迫と人工呼吸の繰り返し

 「胸骨圧迫を30回、人工呼吸2回」を1セットとして、傷病者の意識が回復するか、または救急隊が到着するまで続けてください。

AED(自動体外式除細動器)

 AEDは全年齢に使用可能です。

 傷病者が未就学児(およそ6歳以下)の場合は、小児モードに切り替えを行います。

 小児モードは、パッドを付け替えるもの、スイッチにより切り替えるもの、付属品をAEDに差し込むものなど機種により違いがあります。

 これらの切り替え装置がない機種、また傷病者の年齢がわからず判断に迷う場合は、切り替え等は行わず成人モードのまま使用するようにします。

パッドを貼る位置が書かれているAEDのパッドの写真
AEDの右側にある小児モードに切り替えるスイッチをアップで撮影した写真

1 AED到着後の手順

 AEDが到着したら、傷病者の頭の近くに置き、ただちに電源を入れます。

 AEDは機種により、蓋を開けると電源が入るもの、電源ボタンを押すことで電源が入るものなどがあります。

 未就学児に対してAEDを使用するので、すぐに小児モードに切り替えます。

救急隊員が傷病者のマネキンの胸骨圧迫をしながら、もう一人の救急隊員がAEDを装着している写真

2 パッドを傷病者の胸に貼る

 パッドは一枚ずつ丁寧に貼ります。

 貼る位置は、胸の真ん中と背中の素肌にしっかり密着させて貼り付けます。

 傷病者の身体を起こす必要があるので、声をかけあって協力して行います。

 パッドを貼り終わったら、ただちに胸骨圧迫を再開します。

 胸骨圧迫はパッドの上から実施して問題ありません。

救急隊員が2名がかりで乳児のマネキンの胸にパッドを貼っている写真
乳児のマネキンの胸の真ん中にパッドを貼った写真
乳児のマネキンを横にして背中にパッドを貼った写真
乳児のマネキンの額を反らせ、胸の真ん中に貼ったパッドの上から2本の指で胸骨圧迫を行っている写真

3 心電図を解析する

 パッドが貼られるとAEDが自動的に心電図の解析を始めます。

 このとき傷病者に触れていると、正確な解析が行えなくなってしまうので、「離れてください!」と身振りも交えて伝え、傷病者に誰も触らせないようにします。

 必要があれば、AEDが電気ショックの準備を始めます。

 電気ショックが不要だった場合、傷病者の反応と呼吸がない状態ならば、ただちに胸骨圧迫を再開してください。

パッドを貼った乳児のマネキンから両手を上げて離れている救急隊員の写真

4 除細動(電気ショック)を行う

 ショックが必要な場合、ショックが必要ですとメッセージが流れ、自動的に充電が始まり、充電が完了するとショックボタンが点滅を始めます。

 ショックボタンを押す前に「ショックを実行します、離れてください!」ともう一度注意を促し、傷病者に誰も触れていないことを確認しながらショックを実行します。

両手を上げて離れている救急隊員の間に横たわっているパッドを貼った乳児のマネキンに電気ショックを行っている様子の写真
AEDの真ん中にあるボダンを指さしている写真

5 除細動実施後の対応

 ショックを実施した後は、ただちに胸骨圧迫を再開します。

 AEDはショックの有無にかかわらず、2分ごとに自動的に心電図を解析し、必要があれば電気ショックを行うので、パッドは剥がさずガイダンスを聞き漏らさないように注意します。

電気ショック後に胸骨圧迫を再開した救急隊員の写真

オートショックAEDについて

応急手当にご協力いただいた場合

 ご協力いただいた後は、流水と石鹸で手と顔を必ず洗うようにしてください。

 またハンカチなどを使っていただいた場合は、なるべく直接さわらないように廃棄してください。

流水で両手を洗っている男性のイラスト

普通救命講習を受講して、応急手当を身につけましょう

 消防本部では、毎月9日、19日、29日に習志野市在住、在勤、在学の方を対象に、無料で普通救命講習を消防庁舎で開催しています。

 また現在は中止しておりますが、指導員が事業所などの団体へ出向いて、普通救命講習を開催することもできますので、再開した際は改めてお知らせいたします。

間隔をあけて置かれたマネキンを使い、4名の参加者が胸骨圧迫を行っている普通救命講習の様子の写真

この記事に関するお問い合わせ先

このページは警防課が担当しています。
所在地:〒275-0014 千葉県習志野市鷺沼2丁目1番43号 消防庁舎3階
電話:047-452-1283 ファックス:047-454-8151
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