No.41 情報化社会と私たちの思考【2015年11月1日号】

更新日:2022年09月29日

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 朝の冷え込みに冬将軍の気配を感じるこの頃です。

 10月3日、習志野文化ホールに読売新聞特別編集委員橋本五郎氏を迎えて「これからの平和」と題して一般参加者約600人の皆さんにご来場いただき、最新の時評と平和を考え行動するヒントについてご講演いただきました。この開催は全ての市立中学1年生を対象に7月に行った朗読劇の公演とともに習志野市主催の戦後70年記念平和事業として実施したものです。

 戦後70年、日常の生活は大きく変化しました。特に機械化と情報化によって利便性と安全性が格段に向上しました。あらゆる物事が簡単で迅速に行えるようになり、ここから生みだされた余裕からさまざまなものが多様化し、バラエティーに富んだ豊かな世の中を創り続けています。大変素晴らしいことです。

 しかし、時代に応じた新たな問題も発生しています。とりわけ情報化社会は副作用として悪い事も簡単にあっという間に普及する状態も作ってしまいました。情報は人間の思考が伴って初めて活用されるのであって、単に物体として飛び交っている状態は混乱を招きます。どんなに機械化や情報化が進んでも物事の判断や活用は、人間の思考によって行われなければならないことを考えた時、今の時代、情報の量と速度に合わせた思考をしなければならないのです。

 しかしながら、昨今、今まで頭脳で思考していたことを機械に任せていることが多くなっています。一説には人間の思考力は低下し続けているといわれています。これこそが未来に向けて早急に対処しなければならない課題だと私は思っています。

 問題を平和に解決するには「話し合うこと」が基本ですが、正確には「理性に基づいた冷静な思考を展開しながら話し合うこと」であり、感情むき出しの言動や、目的から外れた過激なシュプレヒコールに覆われた言葉の投げ合いとは根本的に違います。なぜなら、後者は個人の心を攻撃し傷つけるからです。間違った話し合いは問題を泥沼化させ、騒動のドサクサで発生する偶発的な殺傷事件をきっかけに戦争へと発展した惨劇は歴史で学んだとおりです。

 人間はその歩みを始めた瞬間から話し合うことを行い、進化とともに手法やルールを作り、改善を続けてきました。合わせて、話し合いの基礎となる人間の思考力を磨くために教育とその体制を築き、平和と安定を希求してきたのです。日本を含めた先進国の多くが採用している議会制民主主義に基づく行政はその一例であり、その中で、私たちは常にあらゆる問題に主役として対峙することを課せられている(国民主権)ことを忘れてはならないのです。

 乱れ飛んでいる情報の量やスピードに埋もれることなく、ますます思考を発揮していくことが、情報化社会を生きる上で、民主主義を守る上で、平和で豊かな社会を持続していく上で本当に大切だと感じたここ数カ月でした。

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