令和7年度市政運営方針
令和7年習志野市議会第1回定例会が、2月14日に招集されました。
市議会初日に宮本 泰介市長が述べた市政運営方針全文を掲載します。

令和7年度市政運営方針 (PDFファイル: 499.7KB)
令和7年習志野市議会第1回定例会の開会にあたって
令和7年習志野市議会第1回定例会の開会にあたり、新年度に臨む私の所信の一端を申し述べ、議員各位の御賛同と併せて、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
はじめに
令和7年習志野市議会第1回定例会の開会にあたり、新年度に臨む所信の一端を申し述べます。
平成26(2014)年4月から始まった、計画期間を12年間とする現基本構想の本市の目指す将来都市像「未来のために~みんながやさしさでつながるまち~習志野」は、策定当時、情報化社会の飛躍的な進化により、全ての事象の多様化・個別化が進展し利便性が向上していく一方で、社会や周辺への関心の希薄化が懸念され、さらに東日本大震災が発生してより一層厳しい行財政運営を強いられることが想定される中、将来を見据えながら、市民一人ひとりが抱いているやさしさと思いやりを互いに認識し、提供し、広げ、つながることを、習志野市のまちづくりの源泉として運営し、実現する姿として定めたものであります。そして、将来都市像を実現するため、基本計画に則り各種施策の実施に取り組み、11年を終えようとしています。
本市はこれまで、仮庁舎への市役所機能移転からデザインビルド方式による新庁舎・消防庁舎の建設、PFI方式によるプラッツ習志野及び学校給食センターの整備など、柔軟かつ新たな発想を用いた公共施設の再生、また、市立小・中学校の改築や大規模修繕、普通教室への空調機設置など、すべての安全を図りつつ市民サービスの向上策を市議会の皆様とともに考え実行してまいりました。加えて、虐待や差別等の人権侵害等の根絶を目的とした「大切な人を守る都市宣言」の制定、習志野市パートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入、「ゼロカーボンシティ習志野」の表明など、SDGsの理念を具現化した社会全体に貢献する施策にも積極的に取り組んできました。近年では、鷺沼特定土地区画整理事業など、新たなまちづくりに取り組んできており、令和7年度は集大成の年として、さらに、令和8年度を初年度とする新たな基本構想の策定に取り組む年であります。
国の予算と地方財政対策、本市の財政概況
1月の内閣府による月例経済報告においては、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」とされています。
国の令和7年度当初予算案は、「賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行するための予算」として編成されており、前年度対比2.6%増の115兆5千415億円となっております。
また、地方財政計画においては、総額を前年度対比3.6%増の97兆94億円、一般財源総額を前年度対比2.8%増の67兆5千414億円としております。
国では社会保障関係費、人件費の増加や物価高が見込まれる中、地方公共団体が、様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税等の一般財源総額について、前年度を上回る水準を確保しております。
一方、本市の財政概況では、歳入面では、一般財源が増加しているものの、歳出面においては、社会保障関係費、人件費、物件費などの経常的経費の増加により、依然として財政構造は硬直化しております。
令和7年度の予算概要
令和7年度は、現行の基本構想の最終年度であります。予算編成に際しましては、今ある豊かさを将来世代へしっかり引き継いでいくために、後期基本計画に掲げる各施策を着実に実行し、その効果を検証し、次期基本構想において、より大きな効果を生み出す施策・事業につなげていくことを念頭に、「未来のために、みんながやさしさでつながる予算」として編成しました。特に、安全で快適な環境を維持するため学校施設を中心に、引き続き公共建築物の再生に取り組むこととした結果、一般会計予算額は、前年度対比で2.1%、16億7千万円の減少となるものの、令和6年度に次ぎ過去2番目となる764億円となりました。
概要としては、歳入面では、自主財源の根幹である市税を前年度対比21億3千万円増の321億1千万円計上しました。また、地方交付税は30億3千万円、さらに必要な財源を確保するため、財政調整基金からの繰入金を30億円計上しました。その他、後期基本計画及び後期第2次実施計画の着実な実施に向け、国の交付金等、可能な限りの財源確保を図りました。
一方、歳出面では、増加を続けている扶助費は、20億8千万円増の202億6千万円、人件費は、給与改定等により9億3千万円増の146億8千万円を計上しました。また、普通建設事業では、災害時の避難所となる学校体育館等への空調機設置や秋津サッカー場の人工芝化などで109億5千万円を計上しました。
令和7年度の重点事項
国の補正予算を活用し、財源確保を図った3月補正予算案への前倒し計上分も含め、新年度に取り組む重点事項5点について、御説明申し上げます。
第1は、子どもが健やかに育つ環境の整備を推進することです。
令和7年度を計画始期とする「習志野市こども若者まんなか計画」に基づく取り組みを推進します。
主な施策としましては、令和6年度に設置したこども家庭センターを強化していくため、こども家庭課を創設し、児童福祉と母子保健部門のより一体的な連携を図ります。
家庭支援事業として、令和5年度から実施している子育て世帯訪問支援事業の対象を、1歳までの多胎児がいる全ての家庭に拡充します。
市内の児童養護施設に併設・運営される児童家庭支援センターと連携し、地域・家庭・里親等へのさらなるきめ細かな相談体制を構築します。
令和7年4月に藤崎保育所の私立化により開園する「藤崎みつぼし保育園」において、外構整備工事等に係る施設整備補助を行うとともに、私立化ガイドラインに基づく引き継ぎ保育を行います。
東習志野こども園について、施設の予防改修と教育・保育環境の改善を目的とした大規模改修工事の設計に着手します。
大久保東小学校の改築工事に伴い、大久保東小学校地区放課後児童会を現在の大久保東幼稚園舎に移転するとともに、大久保東第二児童会を開設します。
実籾小学校地区放課後児童会について、放課後子供教室との校内交流型として、令和8年度から民間委託による運営を開始するべく、プロポーザル方式による事業者選定を行います。
発達支援の推進として、引き続き教育・保育・療育に関わる関係機関との密な連携のもと、個別支援計画に基づく継続的な支援とライフサポートファイルの活用を推進するほか、巡回相談や研修により、発達支援のさらなる充実を図ります。
市民や保護者、支援者と連携・協力し、地域への発達支援の啓発を実施するとともに、5歳児健診後のフォローアップ体制として相談・支援及び関係機関との連携等を図ります。
新たに「こども誰でも通園制度」を開始し、多様な働き方やライフスタイルに関わらず柔軟に利用できる保育サービスの充実を図ります。
第2は、未来をひらく高水準な教育と生涯にわたる学びを推進することです。
主な施策としましては、いじめ・不登校の未然防止、解消に向けた取り組みとして、計画的・組織的な対応ができる学校体制の構築に向け、教育相談員を増置し、教育相談の充実を図ります。
不登校の状態にある児童の学びの機会を確保することを目的として、小学生を対象としては県内初となる「学びの多様化学校」を4月に開設します。
特別支援教育の一層の充実に向け、引き続き、理解啓発と人材育成のため、研修や検査体制の拡充を図ります。
休日の部活動地域移行について、各学校で活動する地域連携型として市立中学校全7校で実施するとともに、拠点で活動する地域クラブ型も継続します。併せて、民間委託による部活動運営の実証事業を行います。
1人1台タブレット端末の利活用による高水準な教育の展開として、AI型デジタルドリルの活用率の向上を目指します。児童生徒の端末の更新を行うとともに、新たに授業支援システムを導入します。
中学校にデジタル採点支援システムを導入し、校務のDX化を進めます。
教育に係る保護者の経済的負担の軽減として、学習教材において、個人で所有する必要性がなく共用が可能なものについては公費で購入することを進めます。
物価高騰に対応するため、小中学校の給食費について、改定する増額分を公費で負担します。
魅力ある習志野高校づくりの一環として、生徒が購入する端末への補助を継続するとともに、新たに各教室に大型モニターを設置し、ICT教育を推進します。
地域と学校が一体となった学校運営協議会の充実を図り、特色ある学校づくりを推進します。
安全で快適な学校環境を実現するための工事として、大久保小学校の体育館建設、第二中学校の改築に伴うグラウンド整備、屋敷小学校の長寿命化改修及び袖ケ浦東小学校の大規模改修に継続して取り組むほか、新たに市立小・中・高等学校の体育館及び袖ケ浦体育館への空調機の設置、大久保東小学校の改築を行います。設計としては、継続中の鷺沼小学校の建設の設計のほか、新たに藤崎小学校の長寿命化改修に向けた設計に着手します。
東習志野・実花地区の公共施設を複合化し、地域の新たな拠点とする(仮称)新総合教育センターの再整備に向けて、基本計画を策定します。
習志野市史について、市史編さん委員会の意見を伺いながら、追加すべき史実や見直し等を行い「習志野―その今と昔」の“令和版”を刊行します。
就学児童を対象に、放課後等の安全安心な子どもの居場所である「放課後子供教室」を新たに津田沼小学校、大久保小学校、谷津南小学校に開設します。
秋津サッカー場グラウンドの人工芝化整備工事を行います。
富士吉田青年の家の長寿命化改修工事を行います。
第3は、公共施設等総合管理計画に基づく取組を推進することです。
主な施策としましては、各施設の長寿命化計画等に基づき、都市インフラ・プラント系施設、公園遊具の着実な改修を行います。
耐震性が脆弱な消防施設である秋津出張所の移転建替えを進めるため、基本設計及び実施設計並びに既存庁舎の解体設計を、継続事業として行います。
橋梁長寿命化修繕計画に基づき、鷺沼東跨線橋補修工事を鉄道事業者へ委託し実施します。
歩道橋長寿命化修繕計画に基づき、JR津田沼駅北口ペデストリアンデッキ等の補修工事を行います。
次期公共施設等総合管理計画及び次期公共建築物再生計画を策定します。
第4は、誰もが健康を維持できる保健・医療・福祉を充実することです。
主な施策としましては、地域共生社会の実現に向けた取り組みとして、改正社会福祉法で任意事業として示された重層的支援体制整備事業の近隣市の動向を注視しつつ、社会福祉協議会をはじめとする多機関・多職種との連携を推進します。
さらなる地域共生社会の実現を目指し、次期地域福祉計画を策定します。
協定締結事業者等と連携し、終活に関する情報提供や相談対応を通じて、本人や家族等に対して死後の手続きに関する不安解消に努めます。
健康なまちづくりの推進として、次期健康なまち習志野計画を策定します。
母子保健体制の充実として、産後間もない母子の心身の健康状態を把握し、必要な支援につなげることを目的に、産婦及び1か月児健康診査に係る費用を新規に助成します。また、就学に向け子どもの特性に早期に気付き、適切な相談支援につなげることを目的とした5歳児健康診査を開始します。
感染症予防対策の推進として、引き続き新型コロナウイルス感染症予防接種やヒトパピローマウイルスワクチン接種の体制を整備するとともに、新たに定期接種化された帯状疱疹予防接種の対象者への周知及び接種体制を整備します。
永久歯のむし歯予防を推進するために、全小中学校において、フッ化物洗口を行います。
がん治療に伴うウィッグ及び胸部補正具等の購入助成事業を継続するとともに、新たに若年末期がん患者に対する在宅療養支援事業を行います。
在宅で生活する高齢者の支援として、加齢性難聴に関する正しい理解と対応についての普及啓発に取り組むとともに、補聴器等購入費用の一部を助成します。
生活困窮者等への支援として、住まいに関わる相談機能の充実を図るため、住まい相談支援員を新たに配置するとともに、住居確保給付金の支給対象拡大に対する体制強化を図るため、家計改善支援員を増員します。
重症心身障がい者の受け入れを促進するため、国の定める配置基準を超えて職員を配置し、重度の障がい者を受け入れる生活介護事業所に対し、運営費の補助を行います。
第5は、暮らしを支える都市基盤の整備を推進することです。
主な施策としましては、老朽化対策及びJR津田沼駅北口周辺のウォーカブルを推進するため、JR津田沼駅北口自転車等駐車場の建替え工事を行います。
JR津田沼駅北口駅前広場におけるバリアフリー対策として、エレベーター整備に係る詳細設計を行います。
新たな基本構想・基本計画の策定に伴い、都市マスタープランを改訂します。
鷺沼地区の土地区画整理事業について、鷺沼土地区画整理組合に対し、補助金の交付等を行います。
都市計画道路整備について着実に推進し、道路ネットワークの拡充を図ります。
以上、重点事項5点に掲げた事業のほか、
雇用環境の整備として、市内に居住している障がい者を、職場実習のために受け入れた事業主に奨励金を交付します。
新清掃工場の建設等にあたり、事業者選定などの対応に向け、新清掃工場建設課を新設し、より具体的な取り組みを進めます。
各商店会が設置・管理している商店街街路灯について、修繕費用の一部を補助します。
地域公共交通における運転手不足の対策として、公共交通事業者に対し、二種免許取得費用の一部を補助します。
自転車による交通事故の被害軽減を図るため、自転車用ヘルメット購入費用の一部を補助します。
物価高騰に対する支援として、下水道使用者の基本料金を2か月分減免します。
むすびに
近年、我が国を取り巻く社会経済情勢は、気候変動の影響による自然災害の激甚化・頻発化、人・モノ・金・情報等が国境を越えて移動するグローバル化の著しい進展、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした社会全体の急速なデジタル化の進行など、様々な面において展開し続けています。一方、日本全体が人口減少・少子超高齢社会への移行が急速に進む中にあっては、人口が堅調に推移している本市においても、その影響から完全に逃れることはできません。
しかしながら、このような状況の下だからこその社会的変化を、好機と捉えて発展につなげる確かな道のりを考え、定めることが重要だと信じています。
将来世代に過度な負担を先送りせず、将来にわたって持続可能なまちづくりを支える行財政基盤を確立するためには、行政全般にわたり最先端のデジタル技術や民間活力等を活用し、財源や職員など限りある行政資源をより無駄なく配分し、効果的・効率的な行政サービスの提供を推進することが必要であります。
そして、最適化された行財政運営により、今後さらに多様化・個別化していく市民ニーズに的確に対応し続けていくことで、習志野市の無限の発展を支え、持続してまいります。
今後も、文教住宅都市憲章により培われてきた習志野市を、市民の皆様との「共感」「信頼」のもと、明るい「希望」を描きながら確実にステップアップさせていくことを誓い、令和7年度の市政運営方針といたします。
引き続き、皆様の御理解と御協力をいただきますよう、心よりお願い申し上げます。
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更新日:2025年02月14日