令和7年度 研究
研究概要
研究主題
自ら学ぶ子を育てる授業のあり方
-みんなが生き生きと表現する教室-
1 主題設定の理由
(1)時代の要請から
平成29年に告示された学習指導要領では、人工知能(AI)の飛躍的な進化など予測が困難な時代を生きていく子どもたちが、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや様々な情報を見極め、知識の概念的な理解を実現し、情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。また、子どもたちがこれからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには、これまでの学校教育の蓄積を生かし、学習の質を一層高める授業改善の取り組みを活性化していくこと、「主体的・対話的・深い学び」の実現に向けた授業改善を推進していくことも指摘されている。
よって本校では、子どもが主体的に、自分の考えを創り表現する力を高めることを通して、自ら学ぶ子を育てる授業のあり方を追究していく。
(2)研究の経過と児童の実態から
本校は平成20年度より、国語の研究校として「豊かな読解力を育てる指導のあり方-文学教材の読みの交流を通して―」を主題に研究に取り組んできた。その成果として、教材文の内容を理解し、想像を広げながら読み深めることができるようになった。学力テストにおいてもその力を発揮している。一方で、主体的に学んでいく姿勢や相手を意識した表現力(自分の考えを表現すること)には課題がある。また、言語に関わる基礎的な知識、例えば、漢字や語彙の習得が不十分であり、それらをより高めていくことで国語の力を伸ばしていきたいという教師の願いもある。
このようなことから、基礎的な知識・技能の確実な習得を研究の土台として位置付け、学習の場面の中で、目的的・計画的に「考え表現する」場面を設定したり、習得したことが生きて働く学びの中で「新たな考えを創り表現する」場面を設定したりすることを通して、主体的に自分の考えを表現する児童の育成を図っていきたい。
(3)本校の教育目標から
本校では、学校目標として「自ら学び、豊かな心を持ち、たくましく生きる子どもの育成~全ては子どもたちの笑顔のために~」、目指す児童像として「自ら学ぶ子」と掲げている。
研究主題である「自ら学ぶ子を育てる授業のあり方-みんなが生き生きと表現する教室-」に取り組むことによって、主体的に思考し、対話を重ねて自分の考えを創り、表現する力、言語能力を育成することで、学校教育目標の具現化を図りたい。
2 本校が目指す「みんなが生き生きと表現する教室」
令和4年度に伊坂淳一先生(敬愛大学教授・千葉大学教育学部名誉教授)より講話をいただいたことをきっかけとして、本校教員に「楽しい」授業はどんな授業であると考えているか、アンケートを実施した。その結果、以下のような子どもたちの様子が見られた時に「楽しい」授業であると考えていることがわかった。
・たくさんの発言
・わかった、できた、成長したと自覚する姿
・自分たちで主体的に会話
・子ども達の驚き
・多様に広がる(深まる)討論
・ふり返りを書く手がとまらない
このように、子どもが学びに対して主体的な姿が「楽しい」授業であるととらえている。こうした姿を「生き生き」という言葉にこめた。
また、副主題にある「みんな」とは、学力にかかわらず全ての子ども、「表現する」とは、自分の考えを(創り)表現することととらえている。そのため、評価に関しては、子どもが考え、表現したことや授業での子どもたちの様子を見取ることとする。以上のことから、副主題「みんなが生き生きと表現する教室」を目指すことを通して、主題「自ら学ぶ子を育てる授業のあり方」の研究を進めていく。
3 研究内容
(1)三カ年の研究計画
第1年次 令和5年度 |
先生方一人一人が主題にむかって実践する。 子ども一人一人が生き生きと表現する授業を目指す。 |
第2年次 令和6年度 |
授業を外部の人に見てもらう。 研究の方向性を確認する。 |
第3年次 令和7年度 |
公開研究会 |
(2)教材について
・説明的な文章、文学的な文章、情報
(3)研究を支えるもの(日常的な取り組み)
3層目:公開研究会 実践発表 |
2層目:思考と表現の日常化(例:ふり返りなどの書く活動) |
1層目:漢字や語句の意味などの基礎的な知識の定着 |
〇朝学習、朝読書の充実
・月曜日:朝読書
・火曜日:短作文
ミニ作文(以下に例示したような内容)や短文(指示された語句を使った短文作り)を書き、読み合う。良い作品を全体に紹介する。
・各学年での行事に関することや各学期の目標などを書く。 ・普段の生活に関わること(大切な友だち、自分の宝物、好きな本についてなど) ・「こんなこといいな、できたらいいな」 ・うそつき作文(事実ではないことを本当のことにように書く) ・「○○に変身!」(身近な道具などに変身して、その視点で作文を書く) ・妄想作文(ありえない話を書く) ・条件付き作文(2段落構成にする「しかし」などの接続詞を入れる時間制限をする)など |
○読書の推進
・お話会の実施
・「おすすめの本」を委員会活動で紹介する。
○継続的な漢字・語彙・文法の指導(朝学習:水曜日や金曜日を活用)
○各教科等で、自らの意見をもち発信する機会や意見を交換し合う交流の場を設ける。
○令和6年度より、「ことばのきまり」の購入はしない。e-ライブラリを活用する。
4 研究方法
(1)基本方針
「自ら学ぶ子」、「みんなが生き生きと表現する教室」に近付けていくための支援を手立てとして追究していく。発達段階に応じて、自分の考えをつくり、相手に伝える力の向上を目指す。
(2)授業研究の方法
全クラスが年間1回研究授業を行う。講師の指導のもとに、授業参観、授業についての協議を行い、授業の目標や「自ら学ぶ子」、「みんなが生き生きと表現する教室」に迫るための支援・手立てを検討し、よりよいものを追究していく。
5 講師の先生(令和7年度)
【全体講師】
敬愛大学教育学部 教授 伊坂 淳一 先生
【低学年部会】
千葉市立真砂中学校かがやき分校 教諭 楠瀬 千夏 先生
【中学年部会】
敬愛大学教育学部 教授 伊坂 淳一 先生
【高学年部会】
習志野市立香澄小学校 校長 伊坂 尚子 先生
【特別支援】
敬愛大学教育学部 准教授 田中 未央 先生
6 研究日程
月 |
研究の内容 |
4月 |
第1回 研究推進委員会 ・研究の方向性の確認 ・公開研究会に向けた準備の確認 ・物語文の年間指導計画について |
5月 |
第2回 研究推進委員会 ・6月実施予定の研究授業について |
6月 |
第3回 研究推進委員会 ・研究授業のまとめ、紀要について ・公開研究会の指導案の作成について |
7月
8月 |
・事前指導案検討会(ブロック) ・公開研究会指導案提出 ・指導案検討 ・授業準備 |
9月 |
第4回 研究推進委員会(4) ・公開研究会に向けて 26日(金曜日)午後 公開研究会 |
10月 |
・実践のまとめの形式の確認 |
11月 |
※必要があれば研究推進委員会を実施 |
1月 |
第5回 研究推進委員会 ・来年度の方向性について |
2月 |
第6回 研究推進委員会 ・来年度の方向性について |
更新日:2025年05月22日