研究概要
令和4年度研究
1 主題について
「知的好奇心あふれる授業の創造」
《生活科》
~自分の願いをもってともに活動する子を育てる手立ての工夫~
《理科》
~見通しをもって主体的に問題解決に取り組む子を育てる手立ての工夫~
《生活単元学習》
~主体的に活動に取り組み、考え、関わり合うことのできる子を育てる手立ての工夫~
本校では、「自ら考え行動する、心豊かな人間性の育成」を学校教育目標としている。その目標を達成するための4つの柱の一つが「前に踏み出す子」である。「前に踏み出す」とは、ただ他者から与えられたものを実行するのではなく、自らの考えを基に行う自発的な行動を表す。そういった主体的な学びから実感の伴った理解が生まれ、子ども達は自然に思考力を高めることができる。そして、子ども達の主体的な学びの原動力となるものが、知的好奇心である。子ども達が「やってみたい!」「調べてみたい!」「知りたい!」と強く願うこと、すなわち知的好奇心をもつことで、活動に強い意欲をもち、課題について主体的に考える姿が生まれると考える。つまり、子ども達が「前に踏み出す」に至るためには、知的好奇心を引き出すことが必要不可欠なのである。
身近な体験や経験から考えられるような教材の提示をすることで、日常生活と関係付けながら根拠をもって予想することができた場面もあった。自分の予想をもつことで、実験や観察の視点が明確になり、なぜこの実験をすることが必要なのか、考えながら取り組むことができたのは成果と考える。しかし、単元構成を考える際に、毎時間ごとの目標に対しての手立てが、明確さに欠けていたため、子どもの思考が想定していたもの異なる結果となったことが課題として挙げられた。見通しをもち根拠をもって自分の考えを発信できる子どもを育てるためには、単元を通して身に着けさせたい力を明確にし、手立てや場面設定を考えて単元構成をする必要がある。
そこで、「より明確に子どもが考えをもてる場の設定」に焦点をあて、知的好奇心をもたせるために教材教具や素材の提示の仕方を工夫し、子どもの気付きの質や思考のさらなる高まりや深まりができるように研究を進めていきたい。
生活科・理科・生活単元学習の研究を通して「生きる力」の育成を図る。その実現のために、子どもが知的好奇心をもって、学習に取り組めるように様々な視点から支援していく。
そして、問題解決の過程を楽しみながら学習に取り組むことで、生活科・理科・生活単元学習だけでなく、他の教科においても能力を発揮することができるのではないかと考える。さらに、その過程で友達と協力して問題解決をするような場を設定することで、友達と力を合わせて学習に取り組むことの良さに気付かせたい。このようにすることで、一人では学習に後ろ向きな子どもも、友達と一緒に取り組んだら目標を達成することができたという達成感を味わわせ、自己肯定感の向上にもつなげていきたいと考える。
2 研究の目的
子ども達が知的好奇心にあふれるよう、子どもの思考が高まるように支援をしていく。そのために、以下のことをめざす子ども像として迫っていくこととした。
【低学年】
自然や身の回りの事物・現象に興味・関心をもち、事実をしっかりと見つめ、「見つける」「比べる」「たとえる」ことができる子
【中学年】
自然の事物・現象に自分から関わり、根拠のある予想をして、結果から共通点や差異点を見つけることができる子
【高学年】
自然の事物・現象に主体的に問題を見出し、解決の方法を発想して納得できる考えを導き出せる子
【特別支援】
身の回りのことに興味・関心をもち、存分に活動に取り組みながら、自分なりに考え、表現してともに活動することができる子
3 具体的な手立てについて
《生活科》
1.やってみたいという気持ちを引き出せるような教材や事象提示の工夫
・導入の工夫
・目的意識がもてるような素材の準備(自分の願いをもって取り組めるように)
・諸感覚(見る・きく・触れる・かぐ・感じる・なぜ?など)を意識して活動できるような支援
2.伝えたいという気持ちを引き出せるような表現活動の工夫
・実物を見ながら考えをまとめる場の設定
・友達の考えと比較する話し合いができるような場の設定
・見つけたことや気付いたことをかきたくなるようなワークシートの工夫
3.友達とのかかわりを通して、自分の成長や友達の成長に気付かせる手立ての工夫
・友達と一緒に試したり、遊んだりすることができる場の設定
・思いや願いを共有し、互いに学び合える関係づくりの支援
・単元の振り返りの中で、互いに気持ちを伝え合う場の設定
《理科》
1.自分の問題としてとらえ、解決したい意欲や、試してみたいという気持ちを引き出せるような教材や事象提示の工夫
・導入の工夫
・既習や生活経験と異なったり、予想と事実が違ったりする現象が見つけられる場の設定
・「自分もしてみたい」「確かめてみたい」と感じる事象の提示
・目的意識がもてるような素材の準備(はっきりとイメージできる材料)
・諸感覚(見る・聞く・触れる・かぐ・感じる・なぜ?など)を意識して活動できるような支援
2.疑問から問題へと焦点化していくための思考整理場面の設定
(かく・話し合うなどの表現活動)
・自分の考えを整理、まとめる場の設定
・友達とのかかわりの中で、自分の考えをもったり、友達の考えを比較したりして、納得できる考えを導き出す場の設定
・次へつながるように授業後の感想をかく場の設定
(確かになったことの振り返り、残っている疑問など)
3.日常生活と関係づけて考える場の設定
・実験などで明らかになったことが日常生活にどのように生かされるのか興味をもたせる場の設定
・日常生活に生かされていることを活用して学びを深める場の設定
・単元の振り返りの場の設定
<生活単元学習>
1.やってみたいという気持ちを引き出せるような教材や事象提示の工夫
・導入の工夫
・目的意識がもてるような素材の準備(自分の願いをもって取り組めるように)
・諸感覚(見る・きく・触れる・かぐ・感じる・なぜ?など)を意識して活動できるような支援
2.伝えたいという気持ちを引き出せるような表現活動の工夫
・感じたこと、気付いたことを伝えるための一人一人の実態に合わせた手立ての工夫
・友達の考えや思いを理解し共有するための手立ての工夫
・見つけたことや気付いたことを整理するためのワークシートの工夫やICTの活用
3.友達とのかかわりを通して、自分の成長や友達の成長に気付かせる手立ての工夫
・友達と一緒に試したり、遊んだりすることができる場の設定
・思いや願いを共有し、互いに学び合える関係づくりの支援
・単元の振り返りの中で、互いに気持ちを伝え合う場の設定
4 研究の実証方法
1.研究単元において、毎授業の個人内評価Teamsのアンケート機能を使って単元の中のどこが手立てに対しての伸びがあり、反対に効果がなかったのかをはかる。そうすることにより、紀要にまとめる際の評価(反省)材料となる。
2.子どもの発言やノートの分析
学習中の発言やノートの記述内容から、願いをもって(生活科)見通しをもって(理科)自分なりに考えて(生活単元学習)学習に取り組んでいるか、具体的な姿を記録し検証する。
・目的意識をもって活動できているか。
・気付いたことを、諸感覚を使って表現できているか。
・既習や体験をもとに自分の予想(考え)をたてることができているか。
・考察場面で、予想と関係づけて考えることができているか。
5 今年度の研究日程
【1学期】
・提案授業(生活科・理科)を行う。
・全体講師の指導を受ける。
・東習志野小の3校合同研究協議会に参加する。
・前期授業研を行う。(学年の半数の先生)
【夏休み】
・公開研究会の単元を決め、教材研究と指導案検討を行う。
【2学期】
・公開研究会の事前授業を行う。(前期に授業研を行わなかった先生)
・公開研究会の実施。(全員展開)
・研究単元の成果と課題をまとめる。
【3学期】
・研究紀要を作成する。
・今年度の成果と課題を出し、次年度の研究について確認する。
更新日:2023年09月11日