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禅のこころ 〜価値観が違うのは当たり前〜 【9月1日更新】

更新日:2017年9月1日

北鎌倉 円覚寺 の 「禅のこころ」

 夏休みの一日、久しぶりに北鎌倉を散策し円覚寺を訪れました。円覚寺は、1282年に鎌倉幕府執権の北条時宗が、中国僧の無学祖元を開山に招いて創建した鎌倉五山第二位に列せられる禅寺で、元寇で命を落とした人たちの菩提を日本の武士、元軍の戦士とも分け隔てなく平等に供養することを目的に建立されました。
 禅宗は簡潔さを重んじるため、建築物に派手な色や目立つ彫刻はありませんが、禅の教えに通じる飾り気のない質実剛健の気が満ちた厳かな美しさを感じることができる場所です。
 仏殿には、私の好きな書家で、一昨年ニューヨークの国連本部で開催された「世界ダウン症の日記念会議」で日本代表のセルフ・アドボケート(ダウン症のあるご本人)としてスピーチを行った金澤翔子さんが揮毫(きごう)した「佛心」の二文字が飾られていて、しばし足をとどめてその力強い筆遣いに見入ってしまいました。
 その時に手にした円覚寺のパンフレットなどを後で見直しているとき、拝観料300円と引き換えに受け取った半券の裏に、次のような「禅のこころ」が印刷されているのに気づきました。

 禅のこころ 価値観が違うのは当たり前
 自分の考えと同じような人間は
 一人としておりません。
 みんな違うのです。
 違う考えや価値観を同じにしようとするから争うのであって、
 違うと思えば問題はそれで終わりです。
 それには東洋の和の心が大切です。
 和とは、違うもの同士がお互いを認めるということです。 

違いを認め合い、違いがあることを当たり前にしていく

 先週の週末に、千葉市の聴覚障害者協会のみなさんや、手話サークル連絡協議会のみなさんの学習会へ招かれました。本市が平成27年12月に制定した「習志野市手話、点字等の利用を進めて、障がいのある人もない人も絆を深め、互いに心を通わせるまちづくり条例」について、当時私は条例策定作業を担当する保健福祉部長の職にありましたので、策定時の体験談や苦労話などをして欲しいとの依頼でした。

 円覚寺を訪れたすぐあとでしたので、「禅のこころ」に込められた“違い”を認め合うことの大切さを引き合いに出しながら、手話が言語として確立されなければならないことや、障がいのある方個々に応じた情報の取得、意思疎通を保障する環境整備が必要なことについて、話をさせていただきました。
 この日は50人くらいのろうの方、手話通訳者の方、サークル活動で手話を習ったり手話の普及に努めたりされている方が集まり、熱心に話を聞いていただき、その後活発な意見交換となりました。
 このような皆さんの地道な活動の重ねがあるからこそ、世の中は着実に変わっていくのだと思います。私は皆さんと話をしながら、昔と今の二つの事件を思い出していました。

 一つは、今から52年前、上野のすし屋「蛇の目寿司」で起こった不幸な事件です。
 すし店内で2人のろう者の青年が手話による会話をしながら食事をしていました。これに健聴者の客3人が好奇の目を向けじろじろ見たりするので、青年たちは見ないで欲しいと頼みましたが、一向に改まりません。青年の一人が立ち上がって3人の客に注意を促しましたが逆に殴られたため、けんかとなってしまいました。店のご主人が仲裁に入りますが、口で呼びかけても通じない中、はずみで青年に投げ飛ばされたご主人は、コンクリートの床に後頭部を強打し、翌日亡くなってしまったのです。
 この事件は後に裁判となりますが、当時正確な手話通訳ができる人はほとんどおらず、意思疎通の不足で被告のろう青年の主張が十分に伝わらなかったのではないか、という見方があります。実際に、裁判で手話通訳をした人の中には、「(被告の主張の中で)冗長すぎる部分は簡潔に要点をまとめて通訳した」と述懐し、正確に一言一句を通訳したのではないことを認める通訳者もいました。
 当時手話は、ろう学校教育において口話法(発声訓練や読唇術)に劣る「手真似」だとして使用を禁止されていた時代でした。そのことが、手話に対する偏見を生み、奇異の目が向けられ、さらには正当な裁判を受ける妨げにもなったのです。
 この事件が契機となって、手話通訳者の必要性が強く求められるようになり、事件から5年後の昭和45年に厚生省(当時)は手話奉仕員養成講座を開始しました。

 それから約50年がたった今。
 「聞こえる」のも「聞こえない」のも“ふつう”の社会にしようとするシステムが、4人のろう者の命を救いました。
 それは、東日本大震災をきっかけに、日本財団により宮城、岩手、福島の3県から始まった「電話リレーサービス」と呼ばれるものです。
 電話リレーサービスは、テレビ電話機能を介して、聴覚障がい者から送られてくる画面の手話を手話通訳者が同時通訳して音声で健聴者の相手方に送り、健聴者が音声で送ってきた内容は手話に通訳してテレビ電話の画面に送るというものです。
 日本財団では、全国6か所にある事業者に計20人の手話通訳者を配置して、このサービスに対応しています。
 今年6月3日の夕方、愛知県衣浦の沖合で船が故障して海上で動けなくなったという連絡がこの電話リレーサービスの事業所にありました。船に同乗していた4人はいずれも聴覚障がい者で、直接電話で118番通報をすることができません。
 電話リレーサービスの手話通訳者が、船の色や周りの景色などの位置情報を聞き出して(手話ですから「画面から見い出して」になりますが)、衣浦海上保安署に連絡をしましたが、そのうち船からの通信は途絶えてしまいました。
 船はエンジンが停止して船内に海水が入ってしまい、転覆してしまったのです。
 海に投げ出された4人は、船や水上オートバイにつかまって漂っているところを、電話リレーサービスの手話通訳者から連絡を受けた海上保安署が深夜に発見し、全員けがもなく無事に救助されました。
 衣浦海上保安署では、電話で通報ができない聴覚障がい者の救助は初めてだったそうです。

 手話が音声言語と違う言語だということを認めることをしなかった時代から、今は手話も音声言語も両方あって当たり前、むしろ手話と音声言語をリレーして繋いでいこうとする世の中へと変わってきつつあります。
 それは、障がい当事者、特に全日本ろうあ連盟をはじめとする皆さんの血のにじむような運動の成果であることは言を俟ちませんが、私たち日本人が長い歴史の中で培い、伝えてきた「和とは、違うもの同士がお互いを認めるということ」という“禅のこころ”に通じるものであるなら、これからも私たちは、徐々にではあっても着実に共生社会の実現へと向かっていけると思うのです。

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