No.16 平成8年12月15日号 土地をめぐる争い

更新日:2022年09月29日

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 今の時代でも土地に関わる争いはよく耳にするところですが、田畑の収穫物が生活の糧のすべてであった江戸時代の農民にとって、農地争いは文字どおり生死に関わる大問題でした。
 黄色に変色した一枚の古絵図が千葉県立上総博物館に保存されています。これは江戸時代の久々田村(今の津田沼周辺)と鷺沼村の農民たちの土地をめぐる争いの末、出された結論をしたためたものです。この時代、村々の周辺には「まぐさ場」とよばれ、自生する「まぐさ」を採集するための野原がありました。このまぐさは農民にとって、牛馬の飼料として、また作物を栽培するためのたい肥の原料として貴重なものでありました。多くの場合まぐさ場は、村民や付近の村々の入会地(共同利用地)として利用されてきました。
 久々田村と鷺沼村は現在の企業局から教育委員会にかけてのあたりをまぐさ場として共同利用していましたが、その利用権を巡って両村が争い、訴訟が起こされました。この訴訟は幕府の評定所での裁きとなり、従来の入会地としての慣行が認められ、村境を明確にした上で、共同利用していくという裁許(判決)が言い渡され、その証拠としてこの絵図が作成されました。絵図にはその村境が明確に墨書され、さらに関係者の割り印さえ捺されています。
 当時の農民たちが村の権利を守るため争ったこのまぐさ場は、今では閑静な住宅地として、その姿を変えています。

黄色に変色した一枚の古絵図の写真

「久々田村鷺沼村野論裁許絵図」トレース(上総博物館蔵)

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