No.92 平成18年9月1日号 シリーズ・災害と闘う5 家族を守った楠の木

更新日:2022年09月29日

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新ならしの散策 No.92

シリーズ・災害と闘う5 家族を守った楠の木

 千葉街道(国道14号)沿いのスーパーマーケットの駐車場に、1本の楠の木(イヌグス)が立っています。習志野市名木百選にも指定されているこの木は、大正6年(1917年)の大津波(高潮)から一家9人の命を守った木として大切にされています。

 三橋 光さん(故人)は、大正6年当時10歳で、家族と千葉街道沿いの久々田(現在の津田沼)の家に暮らしていました。光さんの手記によると、台風の中心が通過した直後、床下から水がチョロチョロと入ってきて、だんだん嵩を上げ、アッという間に腿まで来たので、急いで戸棚(押入)に避難したと書かれています。水位の上昇は急だったようで、戸棚に避難するとすぐに水は首まで上がってきたので身動きがとれず、そのまま朝まで戸棚の中で立ったまま水につかっていたそうです。その間、何度も材木が家に当たり、その度に家がガタガタとゆれ、全く生きた心地がしなかったといいます。水につかっていた時間は明け方までの6時間におよび、たんすや家財道具はみな流され、家は柱と屋根を残し、中には何も残っていなかったそうです。それでも、家が倒壊せずに残っていたため、家族がみな助かったことは幸いでした。

鮮やかなピンク色の花が咲いており、中央に大きな楠の木(イヌグス)が立っている写真

三橋家の人々を守ったイヌグス

 海岸沿いでは、大型の船がぶつかり倒壊した家が多かったそうです。調べてみると、光さんの家の南に立っていた楠の木には何かがぶつかった跡があり、このことから、大型の船がこの楠の木に当たって向きを変え、光さんの家をそれていったことが分かったといいます。もし、この楠の木がなかったら、光さんの一家は、家もろとも押しつぶされていたに違いありません。
 「この楠の木は家宝として永久保存して頂きたい」 光さんの手記には、楠の木への感謝の言葉と共に、こう記されています。

参考

『習志野市史 通史編』
『習志野市名木百選ぶらっと散策マップ』

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