千葉工業大学通用門(旧鉄道第二連隊表門)

更新日:2022年09月29日

ページID : 5604

国登録有形文化財

 千葉工業大学の通用門の門柱4基は、旧陸軍の鉄道第二連隊の表門として使われていたものです。鉄道第二連隊施設の建造物としては唯一残っている貴重な遺構として、平成10年(1998年)に、国登録有形文化財に登録されました。

千葉工業大学通用門の場所を赤マルで示した地図

設置の年代について

 この門柱がいつ作られたのかを示す公文書は残念ながら確認されていません。しかし、さまざまな資料から、次のような経緯がわかってきました。

明治40年(1907年)ごろ設置

 明治40年、東京の中野にあった鉄道大隊が鉄道連隊に昇格し、千葉と津田沼に移転することになりました。この頃、鉄道連隊第二大隊で移転の担当者だった安達克巳(当時少尉)の回想記「千葉転営当時の回顧」(鉄道隊四十年記念祭委員編『回顧四十年』昭和十一年発行)には、明治40年(1907年)11月、第二大隊の津田沼への仮移転に関して、次のように記されています。
 「津田沼兵営とても全部完成して居るのではなく今の厩舎側の通用門の処が正門で今の運転教育部が大隊本部其隣の兵舎が一棟出来て居た其他の大部は建築中であった」

星形や長方形のような形をしたフレームの中に白黒写真が写っている絵葉書の写真
絵葉書に写っている鉄道連隊第三大隊の表門の白黒写真をアップで写した写真

この絵葉書「交通兵旅団司令部、鉄道連隊千葉兵営、津田沼兵営(第三大隊)」には、表門の画像が写されています。押されているスタンプは、明治41年11月22日付けの千葉転営記念のものです。したがって、この表門は明治40年10月の連隊編成開始から明治41年11月の間に作られたと考えることができます。

 では場所はどこでしょうか。下に示した大正6年(1917年)発行の一万分の一地形図「津田沼」仮製版(大正6年測図)によれば、連隊敷地の北の端、総武線津田沼駅の南側、現在はバスターミナルになっているあたりと考えられます。

赤マルが付けられた一万分の一地形図「津田沼」仮製版(大正6年測図)
建物前に整列している沢山の兵士のセピア色の写真
表門前に1人の兵士が立っている連隊敷地内を南側から写したセピア色の写真

上の絵葉書「鉄道連隊第三大隊 営兵交代」は、この時期の貴重な画像ですが、連隊敷地内(南側)から見た表門です。

大正10年(1921年)、現在地に移転

 『鉄道第二連隊歴史』(昭和7年3月発行)という本には、次のように記されています。
 「大正十年七月より九月に亘(わた)り、蹄鉄工場の設置に伴い、表門、風紀衛兵所、馬繋場を現在位置に移転す」(26ページ)

 これ以降、表門が移転したという記録はありません。地形図でも表門の位置は変わっていません。

1人の兵士が千葉工業大学通用門前を歩いている様子のセピア色の写真

写真帖「大正十四年度 除隊紀念 鐵道第二聯隊第一中隊」より

赤マルが付けられた一万分の一地形図「津田沼」(大正6年測図、昭和4年修正測図)

昭和7年(1932年)発行一万分の一地形図「津田沼」(大正6年測図、昭和4年修正測図)

鉄道第二連隊の正門前に1名の兵士が立っているセピア色の風景写真

絵葉書「鉄道第二連隊 正門」撮影年不明(大正10年~昭和7年か)

鉄道第二連隊の施設と、鉄道第二連隊の正門前に1名の兵士が立っているセピア色の風景写真

絵葉書「鉄道第二連隊 営門と本部」 昭和5年(1930年)ごろ

大きな1本の木や建物などがある鉄道第二連隊を営門前から写したセピア色の風景写真

絵葉書「鉄道第二連隊 営門」撮影年不明(大正10年~昭和7年か)

1名の兵士が通用門の門柱横に立ち、鉄道第二連隊の施設前に整列している沢山の兵士の白黒風景写真

絵葉書「鉄道連隊創立四十年記念」(部分)昭和11年(1936年)

 では、現在の千葉工業大学通用門の門柱は、明治40年または41年に設置された当時のものなのでしょうか。
 残念ながらその確証はありません。しかし、移転前の画像を子細に観察すると、外側の門柱の煉瓦が21段積まれていることがわかります。移転後の画像の門柱、それから現存する門柱でもこの数は同じです。扉や電灯装置を除く門柱本体の構造も、移転前後で変化していないように見えます。少なくとも外観に関しては、現在の通用門は、設置当初の姿を伝えているといってよいでしょう。

このページに掲載した絵葉書・写真はすべて個人蔵のものです。

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